アフリカ・ボツワナにある、モレミ動物保護区の東部・カワイ(Khwai)地域で体験したサファリドライブでは、ビッグファイブと呼ばれるライオン、ゾウ、ヒョウ、サイ、バッファローのうち4種類の動物に出会うことができました。
弾丸ボツワナ旅行記②|アフリカで体験した2泊3日のサファリ体験記【モレミ動物保護区で出会った動物たち】
そして、サファリドライブやモコロボート(伝統カヌー)の体験中にガイドから聞いた自然の知恵「もうひとつのサファリ体験」についてこの記事ではまとめました。
白アリ塚

至る所にそびえ立っている、尖がった白アリ塚。
大人の男性よりもゆうに高く、写真のアリ塚は12年ぐらいかけて作られたものだそうです。このようなサイズがいたるところにボコボコ立っています。
水を含むとより頑丈になる性質を活かして、人間たちの住む家の材料(屋根や壁など)に使われたり、動物たちが昇る高台の役割も担っているのだそう。
実際に、狩りを終えたチーターが休んでいた木陰のすぐ隣にも白アリ塚がありました。

白アリ塚の下3分の1は、water poolと呼ばれる水の貯蔵庫になっているのだそうです。これは地下水ではなく雨水を溜めていると言っていました。
ゾウの糞や木を養分にして、自分(白アリ)たちの唾液と排泄物と混ぜてを高く作っていきます。なので、白アリ塚のすぐそばにはスカスカになった倒れた木や、ハチの巣状態のゾウの糞などもありました。また、ひとつのアリ塚を高くしていくだけではなく、近くにもうひとつのアリ塚を作って合体させていく事も多いようです。
ひとつのアリ塚には女王と王がワンペアだけが居て、その他のアリは①赤ちゃんをお世話するアリ、②食べ物を調達してくるアリ、③敵から守るアリ の3体制で組織されています。近くにもう一つのアリ塚をたてる場合には、女王と王のペアがもうひとつできるらしいです。
ブッシュマンシリーズ
南アフリカの先住民・サン族をブッシュマン(Bush man)と呼んでいます。
▶ ゾウのウンチ

木を良く食べているゾウのウンチはとっても繊維質。乾燥したものはパサパサしていて簡単に2つに割ることが出来ました。乾燥しているウンチは鼻を近づけないと匂いがしないので、ガイドの方が説明の時に持った時にウンチの匂いをかがせてもらいました。草のとってもいい香り。
よく乾燥している繊維の塊であるゾウのウンチは、ブッシュマンの暮らしでも利用されています。
① 焚火の火種
火が付きやすく、ゆっくり燃える
②くすり
頭痛、のど・鼻の不調には燻したウンチの煙を毛布を被って、クンクン鼻から吸って呼吸をする。伝統的な民間療法らしいですが、ガイドさんイチオシ。
③蚊よけ・虫よけ
今でもキャンプなどでは簡易的な虫よけとして使われているようです
▶ カラハリ

これは乾燥していますが、植物がまだ青いときのものをタバコのようにして吸うらしい。ガイドの人に吸ったことがあるのか、美味しいのかを聞いてみたら、「美味しくないし、さすがに吸ったことないよ」と笑って返されました。
ゾウの暮らし
至る所で見かけたゾウですが、その時に教えてもらったことをまとめました。
▶ 象のローション

マルーアの木に水辺から上がったゾウが体をこすりつける事で、通称「ゾウのローション」とよばれているのだそうです。マルーアの木もどんどん成長するので、木の高い位置にもゾウが体をこすりつけた傷がついていました。
木の樹脂や樹皮が、乾燥やケガ、虫刺されなどで傷付いた皮膚をケアする役割があるみたいで、実際にゾウがゴシゴシと体や鼻を擦っている場面を目撃することもありました。
ゲームドライブをしていると、至る所の木が倒れている事があり「朽ちて自然に倒れたり、人工的に道を作るために倒したのかなぁ」と疑問に思っていたら、ゾウが倒しているのだそう。
ゾウの迫力を再認識。その力を受け止められるマルーアの木は太くてがっしり、そして大きい。
▶ ウォーター・リリー

ゾウがオカバンゴデルタで何を食べているのか判明しました。ウォーター・リリーまたの名をウォーター・フラワーと呼ぶこのお花の根っこが大好物なのだそう。
ぶちぶち音を立てて引き抜きながら食べていました。そして根っこだけをたべるので、上手に根っこを食べられたお花がぷかぷかとそこら中に浮いています。
ちなみにボツワナの人たちも、ウォーター・リリーの根っこと牛肉を半日ぐらい煮込み、塩だけで味付けをした「ツェンガナ」という伝統料理を食べるそうです。美味しいとガイドさんが言っていたのでぜひ食べたかったけど、ロッジのお料理には出てこなかった。
バッファローソーン

バッファローが好きな木で、実際にこの日も木陰に数頭のバッファローを見ることが出来ました。
もともとは奥に見えるような緑が青々と茂った木で、このスカスカの木は死んだ木。モサモサっとした塊は動物の毛が引っかかっているのかと思いましたが、鳥が作った巣でした。

倒れている木には真っ白い動物の骨(カバやバッファロー)が引っかかっていることもあり、ありのままの時間の流れや歴史、自然の厳しさなどを感じることができました。
ボツワナでは「故人の魂を家族のもとに連れて行く」という意味を込めて、棺にこの木の枝を入れて村に運ぶのだそうです。

滞在したオカバンゴデルタとクワイ川の水源は、雨季で降った雨や湧き水ではなく、ナミビアから流れてくる川が分岐してくる、国境をまたぐ大移動。
ハイエナのうんち

陸に戻り、こちらはハイエナのうんち。
ハイエナの別名「自然界の掃除屋」の由来は、骨まで食べつくす頑丈なあごの持ち主だから。実際に骨まできれいさっぱりたべるので、ウンチは真っ白でした。
でも初めから真っ白いウンチを出すのではなく、フレッシュなウンチは真っ黒。

写真にところどころに黒いウンチもあるのが分かるでしょうか。フレッシュなウンチが黒く、乾燥してカルシウムだけが残るのでウンチがしろくなるのだそうです。
実際にガイドさんが白いウンチを割って見せてくれましたが、ホロホロ、サラサラしていました。
ワイルドセージ

カルシウムやミネラルが豊富で、こちらもゾウの大好物。

縄張りがあるくらいゾウにとっては大切な植物のひとつのようです。
写真はありませんが、ワイルドセージが沢山ある藪のような場所でゾウと遭遇した時には軽く威嚇されたので、車で下がりつつ、様子を見てじっと静かにしながら、彼らが移動するのを待ちました。
まとめ
モレミ動物保護区でのサファリ体験は、ただ動物を見るだけの時間ではありませんでした。
白アリ塚やゾウのローション、ブッシュマンの知恵。そこには、計算式ではなく経験をもとに作られた自然と共に生きるための工夫や、生きものたちの知恵がありました。
ガイドさんからの解説を通して、サファリは単に動物を見る体験ではなく、自然の仕組みや人々の暮らしを学ぶ場所でもあると実感。
何度も「私たち人間よりも動物たちの方が強い」という事を言っていました。人間はあくまでもお邪魔せてもらっている存在。動物たちのパワーを知っているからこその言葉で、安全に暮らすには謙虚さの必要性も感じました。
アフリカ・ボツワナで出会った“もうひとつのサファリ体験”は自然の循環を見つめる旅にもなりました。


コメント